ギャラリー

作品制作技法

截金について

截金(キリガネ)とは、金箔を数枚はり合わせ、竹刀等を用いて切り、押していく技法です。
細いものでは髪の毛より細いのではないかとおもわれるくらい細く切った截金をほどこしている御像があり、日本で古くは東大寺戒壇堂の四天王(塑像・天平時代)に確認できます。
鎌倉時代には快慶が金泥地に截金を施すという、金に金で紋様を描くというとても繊細な表現を好んで用いていました。

私が研究をおこなった東大寺俊乗堂の快慶作阿弥陀如来立像は、左足、足ホゾ外側面に針書で「広岡ニテ承元二年九月一日 細金初」とあり、承元二年(1208年)に截金(細金)が施されたことがわかる。
截金の歴史においても年代のわかる重要な作例といえます。

作品は俊乗堂の阿弥陀如来像の文様の一つをサンプルとして制作した物です。

截金技法については、截金の重要無形文化財保持者(人間国宝)であられた江里佐代子先生に大学院で教わりました。江里佐代子先生は古来より「秘伝」とさていた截金技法を広く伝承してくださいました。
佐代子先生が残された印象的な言葉に「伝統とは精神の伝承」という言葉があります。先生の生き方そのものはないでしょうか。
博士研究で行った、「東大寺俊乗堂 快慶作 阿弥陀如来立像想定復元」の截金については、文化財保存学の先輩でもある日本画家 中村裕子氏が中心となって、施していただきました。非常に繊細で好きな技法なので、作品にも截金をいれることがあります。