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巧匠堂 吉水快聞

制作技法

木彫

巧匠堂で使用する材木や木彫技法は、作品の大きさや用途によって使い分けています。日本の仏像に用いられてきた材は「楠(くす)榧(かや)檜(ひのき)桂(かつら)桜(さくら)白檀(びゃくだん)」などですが、巧匠堂でもそれらを使用しています。またヤモリなどの細かい細工には「黄楊(つげ)」などを使っています。

木の種類

仏像を造る際の技法は、頭体幹部を1材で造る一木造りや、頭体幹部を1材で造り前後に割り離してつくる一木割り矧ぎ造り、頭体幹部を2材以上で造る寄木造りなどがあります。作品づくりでは、これらを応用して、その都度最適な方法をとっています。

木彫の様子
木彫の様子
漆の道具一覧

巧匠堂では彩色や金箔の下地、表面に艶のある表現などに漆を用いています。

漆はウルシの木の表面に傷をつけて、染み出す樹液を採取したものです。適切な湿度と温度があれば自然に硬化する天然の樹脂です。人類による使用は古く、日本では縄文時代にまでさかのぼるようです。

漆は硬化すると、水にも有機溶剤にも溶けない性質があります。漆器などの日用品に始まり、工芸品や武具、建築など様々なものに利用されてきました。漆は精製方法や混ぜる物によって様々な使用方法が可能になります。小麦粉と漆を混ぜた麦漆を接着剤として使ったり、その麦漆に木屑を混ぜて粘土状にした木屎漆(こくそうるし)をモデリングに用いたりします。また砥の粉と混ぜてペースト状にした錆漆を下地にも用います。漆は顔料を混ぜ合わせることにより朱漆など色漆を作ることができます。

漆の種類
彩色の道具一覧

彩色

巧匠堂では主に日本画で使用する顔料を膠で定着させて彩色をしています。

彫刻の彩色方法は、基本的には顔料(水や油に溶けない粉)と、それを定着させるための固着剤を混合したものや、水溶性の染料などが使われます。

顔料は、古くは自然界に存在する土や石などの鉱物、サンゴや貝などの生物由来の物質を砕いたものが使用されてきました。染料はアイ(藍)やアカネ(茜)などの植物や、カイガラムシ(臙脂)などの昆虫から抽出した色素を利用してきました。現在では化学的に合成した物質など様々なものがあります。

固着剤には亜麻仁油などの乾性油(油絵具)、アラビアゴムの木からとれる樹脂のアラビアガム(水彩絵具)、動物の骨や革を煮詰めて作った膠などが使われてきました。最近ではアクリル樹脂(アクリル絵具)などもあります。日本の仏像や仏画には、古来より膠が用いられてきました。

彩色の様子
彩色の様子
截金の道具一覧

截金

巧匠堂では截金(きりがね)という技法を用いた装飾を表現として使用することがあります。

截金は古くは細金とも呼ばれます。金・銀・プラチナなどの箔を数枚はり合わせ、竹刀を用いて細く切ったものや、菱形などに切った切箔を筆を使って膠で貼っていく技法です。筆で線を描くよりも細く、均一な線を施すことができます。

日本における古い作例として、法隆寺の玉虫の厨子(飛鳥時代)や東大寺戒壇堂の四天王(天平時代)があげられます。鎌倉時代には快慶が金泥地に截金を施す技法を好んで用いました。

吉水快聞は大学院で東大寺俊乗堂の快慶作阿弥陀如来立像を研究しました。同像は左足、足ホゾ外側面に針書で「広岡ニテ承元二年九月一日 細金初」とあり、承元二年(1208年)に截金(細金)が施されたことがわかります。截金の歴史においても年代のわかる重要な作例といえます。

截金の作業の様子
截金の作業の様子